給食エッセイ 『血の気が引く ひじき』

 ひじきと言えば「鉄分豊富な食品」の一つ。「貧血予防に!」と、レバー、ほうれん草に並び挙げられる食品です。
事実、乾燥ひじき100gには55mgの鉄分が含まれ、これだけで5〜6日分の必要量に相当します。またその含有量に対し製品の価格が安価なことが魅力で、給食では大変重宝されます。栄養士には「ひじきに足を向けて眠るな」という格言があるとか、ないとか。
 
 さて昨年末に「ひじきの鉄分が激減」という報道がなされました。これは15年ぶりに改訂された「日本食品標準成分表」の中で、「ひじきの栄養量は製造時の機器に影響される」と示された事が発端です。旧来、ひじきは鉄釜で煮て製造されていましたが、現在はステンレス釜が主流。つまり、昔ほど鉄分を含まないひじきがほとんどという事実が発覚したのです(主流品は9分の1の含有量に見直し)。そもそも鉄分は摂取が難しい栄養素。一般的な食品は総じて含有量が少なく、多量の摂取が必須。ほうれん草ですら、1日分の必要量をカバーするには500g食べなければなりません。今後は9倍量のひじきを給食で提供するか、他の食品を多量に使うか選択を迫れている次第です。
 
 このひじき問題、栄養量と食事量とコストの兼ね合いを考えるだけで、クラクラしてきます。ひじきで、血の気がひいて貧血で倒れたら、何を食べればいいのでしょうか。誰かご存知の方、ご連絡お待ちしています。
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